石井和義、この名を聞けば正道会館の館長として名高い存在。彼の生み出したＫ－１という格闘技団体は、一つの独立した業界を創り出すほどの規模に育て上げられた。それは何もかもを空手に捧げる者たちにとって、新たな生きる道を示した意義深い事業である。彼の見識と行動力には深い敬意を表するものであり、その魅力に引き寄せられる人々は多い。多くの者が正道会館の門を叩き、その一部は館の職員として生涯を捧げる道を選んだ。だが、悲しいことに、そんな正道会館は分裂の危機を迎えてしまった。正道会館の未来は未知数だが、石井和義館長が築き上げた精神は多くの人々の心に深く刻まれ、格闘技界の歴史に名を刻んだ。
正道会館の分裂の根源は、新たな風を追い求める中本館長代行の野望にある。彼は、自らが長年仕えた正道会館の舞台を背にして、自分だけの空手道を創造するという壮大な夢を石井館長に明かした。その後、彼は選手たちを連れて正道会館を去り、全日本真正空手道連盟 真正会を立ち上げた。
この出来事について私の見解は、中本館長代行の行動は理解できるものだというものだ。自分の探求する道と教会の教義がずれ始めたと感じた時、人は新たな地平線を求めるものだ。正道会館での活動は、彼が目指す独自の空手道の追求には束縛となり得たかもしれない。だからこそ、彼は自身の信念に従い、新たなる道を開く決断を下したのではないかと思われる。
正道会館の分裂騒動で発生した問題とは。
１．名古屋と東京で真正会道場が出現した。
正道会館の分裂の結果として、名古屋と東京の風景は変わりました。正道会館の道場がこれらの都市から消え去り、その代わりに真正会道場が台頭したのです。これは、二つの都市の住民が体験するカラテの世界に大きな影響を及ぼしました。
正道会館の信奉者である名古屋や東京の市民にとっては、この変化は遺憾な出来事でした。彼らが磨いてきた正道会館の技術と哲学が、まるで風に吹かれて散らばった花びらのように、もはや身近な場所で学ぶことは不可能になりました。独自の修行の場が消え去ったことは、彼らにとって深い失望感をもたらしました。
しかし、すべての市民が同じように感じているわけではありません。特定の流派に縛られることなくカラテを追求する名古屋と東京の市民にとっては、この出来事は大きな意味を持たなかったのです。彼らは空手の本質を求め、その形式に捉われることはありません。正道会館がなくなったとしても、その影響は彼らには及ばなかった。新たに登場した真正会道場が、彼らの求めるカラテの学びの場となったのです。
この出来事は、正道会館の信奉者と形式にこだわらない者たち、それぞれの視点から見れば、全く異なる解釈と感情を引き起こしました。それぞれの視点が、名古屋と東京のカラテ界の新たな風景をどのように見るか、それが分裂という出来事の教訓でしょう。
2.空手の流派の違いにこだわらない人が多数いることが浮き彫りになった。
空手の世界で、正道会館の旗を忠実に追う者たちは、他の空手の流派、極真会館空手、知名度がない直接打撃性空手、伝統派空手すら容認しきれない感情を抱いています。だからこそ、彼らが愛して止まない正道会館の道場が突如、別の名前を冠した道場に変貌してしまったとき、彼らは予想外の岐路に立たされます。彼らは異名を掲げた道場から背を向け、遠路恵まれた正道会館の道場へと向かうことを余儀なくされるのです。
一方、大部分の正道会館の会員は、時間と共にフルコンタクト空手の本質を見つめることにより、空手の流派の違いは些細なことだと悟ります。彼らは、フルコンタクト空手がすばらしい身体活動であり、その流派にこだわることは時間の浪費だという結論に達します。そのため、たとえ彼らがかつて敬愛していた正道会館の名が、真正会道場という新たな名前に変わったとしても、彼らは揺るがずにその道場での空手の修行を続けるのです。
これらの状況は、空手の修行を通じて、人々が自身の価値観や視点をどのように形成・変化させていくかを象徴しています。そしてそれはまた、自分自身と向き合い、理解し、成長するための旅でもあるのです。
3．フルコンタクト空手分裂の歴史に終止符を打てなかった。
正道会館を去り、同じ空手の道に生きる別の道を選んだ者たちは、私の眼には石井館長への不忠として映ります。彼らの選択は、正道会館の内部を揺るがすだけでなく、フルコンタクト空手の全体像を損ねる悲劇となりました。しかし、一般の視点からは、この出来事は「道場の名前が変わっただけ」で、深遠な影響を憂慮するほどのことではないかもしれません。
同じく極真会館の分裂も私には裏切りとしか見えません。新たに生まれた流派に対する好感を抱くことは難しく、この出来事は空手という道を進む者が本来持つべき純粋さに陰影を落とします。誰しもが尊敬する師を裏切る行為は、空手という修行の道にとって本来なすべきではない。そのため、極真会館の分裂は避けられるべき出来事であったと私は考えます。
私の視点は空手という道における忠誠心と尊敬の精神を深く尊重するものです。流派という名はただの識別子以上の価値を持ち、師と弟子の絆、伝統への尊敬、修行者自身の道への奉仕を表していると私は信じています。これらの要素は空手の魂そのものであり、私たちが守り続けるべき尊いものだと考えています。
４．柔道や柔術をやる道もある。
端的に言ってしまえば、空手の修練から得られるものは、体力向上の一方で、個々の人間性への深い洞察をもたらすものではないかもしれません。この真実に気づくと、特定の流派に縛られることの意義は次第に失われ、正道会館が一体になろうが、分裂しようが、それが我々の日常にどのような影響を与えるのかを考える必要性は薄れてしまいます。
更に思索を進めると、空手への投資と同等の時間と精力があるなら、より現実的なスキルを手に入れることができる柔術や柔道のような他の武道の学習を考慮する価値があるかもしれません。この提案は、空手が価値のないものであると主張しているわけではありません。むしろ、同じリソースを使うのであれば、他の可能性を探求する余地があると示唆しているのです。
5. 極真空手をやるのが一番。
全ての直接打撃空手の源泉は、極真会館にあります。ならば、真の直接打撃空手を学びたいのであれば、単純に極真会館の門を叩けば良いだけの話です。この観点から見れば、直接打撃の空手界において正道会館の分裂などは、微細な問題にすぎません。この真実に目を向けると、正道会館の分裂騒動に対して深く考え、議論すること自体が無意味なことであると気付くことができます。
